昔々、この村がまだ神の国だったころ。
ウルとセシアという仲の良い双子の姉妹がいました。
活発で積極的、太陽のようなウル。
おっとりしていて内気な、月のようなセシア。
まるで正反対のふたりでしたが、ウルもセシアもとても優しい心の持ち主で、お互いを愛し、また周りにも愛されていました。
リラとミアはとても心の優しい双子。
活発なリラと内気なミアはまるで正反対ですが、誰からも愛される仲の良い姉妹でした。
印の現れた美しい双子には、羨望の眼差しが向けられました。
通るところ、通るところ。
病を治してくださいと叫ぶ者や、失った腕を戻してくれと叫ぶ者や、大金を手にしたいと願う者が現れました。
そして家にいる時には、母の母の、そのまた母の妹と名乗る者や、父の叔父の子どもの親の兄弟と名乗る者が現れました。
つい先日まで話すこともなかったような人も、満面の笑みで話しかけてくるのでした。
神官に選ばれることは、大変名誉なことですから、誰もがその恵みにすがりたくなるのです。
リラには、セシアになす者として火あぶりの刑が下されました。
ミアは何度も長老を説得しようとしましたが、訴えが聞き入れられることもなく自分の無力さにうちのめされるばかりでした。
リラも毎日毎日祈り続けましたが、明日にも訪れるかもしれない処刑日におびえ、疲れきってしまいました。